テニスセルフジャッジ超解説

日本テニス協会公認審判員がルールを解説してきます。

㉜S.ウィリアムズvs大坂なおみで起きたゲームペナルティを解説(2018全米)

USオープン決勝戦で、セレナがゲームペナルティを受けるという大きなトラブルが起こりました。

※ゲームペナルティ…スポーツマンシップに反する行為により、1ゲームを失う(対戦相手に与える) ペナルティのことです。

 

まずは理解を深めるために動画をご覧ください⇓⇓


Shocking US Open final as Serena Williams loses, breaks her racket

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ゲームペナルティーを受けた流れの説明

①セレナのコーチがコーチングをしたため、コードバイオレーション1回目(警告)

②セレナがラケットを破壊し、コードバイオレーション2回目(ポイントペナルティ)

③セレナが審判に暴言を言い、コードバイオレーション3回目(ゲームペナルティ)

※コードバイオレーションとはテニスにおける倫理規定違反です。わかりやすく述べると、スポーツマンシップに反する行為には罰を与えるというルールです。 

 

解説①コーチングによるコードバイオレーション:警告

 ⬇4:40〜をご覧ください。 


Shocking US Open final as Serena Williams loses, breaks her racket

 

セレナのコーチがコート外から手で何か指示を送り、これがコーチングと見なされて警告が与えられました。

ルール上、コート外からのコーチングは禁止されており、コードバイオレーションの対象となります。これはセルフジャッジの試合も同様です

※団体戦ではベンチコーチからのコーチングは認められています。

 

解説②コーチがルール違反しているのに、選手が警告を受けるの?

はい。その通りです。そうしないと、コーチや応援は何でもありになってしまいます。

 

しかし、四大大会でもセルフジャッジの試合でもどこまでがコーチングにあたるかの基準が曖昧のため、厳しく取り締まれないのが現状です。

 

例えば、コーチが携帯を右手で持っている時は相手のバックを狙え、左手で帽子を持っている時はネットプレーを使え、と決められていたら取り締まることは難しいです。

 

解説③ラケットを破壊しによるコードバイオレーション:ポイントペナルティ

⬇1:27〜ラケット破壊
Shocking US Open final as Serena Williams loses, breaks her racket

 

これは「ラケットや用具の乱用」に明らかに違反しているため、コードバイオレーションです。2回目のコードバイオレーションのため、失点となります。

 

解説④審判への暴言でコードバイオレーション:ゲームペナルティ 

⬇1:32〜審判との口論


Shocking US Open final as Serena Williams loses, breaks her racket

 

チェンジコート中にセレナと主審は口論になり、セレナは主審に対して

「あなたは私からポイントを盗んだ!」

「あなたは泥棒だ!」

 などと言ったことで、コードバイオレーション3回目を審判から受け、ゲームペナルティとなりました。

 

ルールブックにも「言葉による侮辱」はコードバイオレーションの対象であると明記されています。

※何が侮辱に当たるかは主審やロービング判断

 

コードバイオレーションの仕組み

コードバイオレーションは通常、

1回目警告

2回目ポイントペナルティ

3回目ゲームペナルティ

4回目以降は失格かどうかを判断します。

※悪質な場合は1回目から失格になります。

 

解説⑤悪質な例


www.youtube.com

  

解説⑥セレナの言い分:男女差別

「男子選手はもっとひどい言葉を使っているのにこの程度で違反になるのは不公平だ!」と抗議していました。

 

セレナの気持ちもわからなくはないですが、 ルールで暴言は禁止されています。

 

主審のこの判断は男女差別、人種差別などの報道もありましたが、ルールの観点からみると何も問題はありません。

  

解説⑥個人の意見と注意点

暴言はプロでもアマでもきつく取り締まるべきです。審判に対する抗議は選手としての権利ですが、抗議と暴言は全くの別物であり、ルール違反です。

 

「抗議=暴言もあり」と思っている方はセルフジャッジの試合でもいます。暴言はセルフジャッジの試合でもコードバイオレーションの対象となる行為なので、抗議の時の言葉遣いはくれぐれもご注意ください。

 

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