テニスセルフジャッジ超解説

日本テニス協会公認審判員がルールを解説してきます。

⑬錦織vsカレノ・ブスタ 猛抗議シーンを解説(2019全豪)

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試合状況

2019年全豪オープン

錦織圭vsカレノ・ブスタ 

第1セット 錦織6⑦カレノ

第2セット 錦織4⑥カレノ

第3セット 錦織⑦6カレノ

第4セット 錦織⑥4カレノ

第5セット 錦織66(5-8)カレノ

という大激戦の終盤でトラブルは起こりました。

※ファイナルセットのタイブレークは10ポイント 

 

猛抗議の流れ

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⇑カレノブスタのコードボールがサイドラインの際どいところへバウンド


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⇑錦織がオープンコートへ打ち込む

・カレノブスタは錦織の打球と反対サイドへ走る

・しかし、カレノブスタのコードボールを線審が「アウト」とコールし、カレノブスタがチャレンジ


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⇑結果は「イン」


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⇑しかし、主審はポイントのやり直しではなく、錦織のポイントと判断

カレノブスタが猛抗議

 

という流れです。

 

動画で実際に確認

見た方がより理解が早まると思うので、こちらの動画10:10~をご覧ください。

⇓⇓⇓

YouTube


Kei Nishikori vs Pablo Carreno Busta - Full Fifth Set Tiebreak | Australian Open 2019 4R

結論

「ルール上、錦織のポイントで問題はありませんが、主審は一つだけミスをしました

 

解説①主審のミス

それはチャレンジをする前のカレノ・ブスタへの説明不足です。

 

順番に解説していくと、

まずこれはホークアイ(チャレンジシステム)で確認してもしなくても、どっちみち下記の理由で錦織のポイントです。

 

・カレノブスタは錦織の打球と反対方向に走っている

 

・錦織がボールを打った後に審判が「アウト」とコールしている

 

つまり、線審がインのボールをアウトと言っていますが、この誤審は何も選手たちのプレーに影響していないというわけです。

 

通常、審判の判定が間違っていた場合は

「誤審によって選手たちのプレーに妨害という影響があった」ということでポイントがやり直しになるケースが多いですが、この場合は影響がないという判断です、

 

解説②主審が取るべきだった行動

主審は、カレノ・ブスタがチャレンジを要求した時に「チャレンジしても良いけど、どっちみち錦織のポイントだよ。と伝えるべきでした。

 

チャレンジを認められたカレノ・ブスタからしたら

「どっちみち錦織のポイントなら、何で俺のチャレンジ認めたんだよ!!」

「こんな大事な場面でポイントやり直しの期待をもたせるんじゃねぇよ!!」

というわけです。

 

この説明が不足していたため、カレノブスタの怒りが余計に増してしまいました。 

 

最後に

このケースは非常に特殊なケースですね。

試合後もカレノ・ブスタは大激怒していました。

しかし、その後謝罪をしています。

 

超大激戦の超重要ポイントで頭に血がのぼってしまった結果、細かいルールも忘れてしまったのでしょう。

 

彼は元トップ10で四大大会ベスト4に進出したことがある選手ですので、今後の活躍に期待です。

 

これは世界中で議論される判定となりましたが、ルールの観点からみると主審の判定は間違っていません。

 

一つだけミスがありましたが、この緊迫した場面でのナイスジャッジです。

 

今回はトッププロの問題シーンを解説しましたが、忘年会でテニス仲間との会話ネタにお使いください。笑

 

次回「インプレー中の落し物」 

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他のトッププロのルールはこちらで解説⇓

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