テニスセルフジャッジ超解説

日本テニス協会公認審判員がルールを解説してきます。

㊿シャポバロフのラケット叩きつけ猛抗議について解説(2020全豪)

本日は2020全豪オープンにて、シャポバロフがラケットを叩きつけたことによる警告について解説します。f:id:aaatennis:20200130161546j:image

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結論

ルールの観点から見ると、シャポバロフの行為は間違いなくコードバイオレーションです。

 

シャポバロフが警告を受けた流れ


Shapovalov contro l’arbitro per un warning Australian Open 20/1/20

第3セット序盤にブレイクされ、シャポバロフが怒ってラケットを叩きつける(ラケットは壊れていない)

主審がコードバイオレーションを科す

シャポバロフが主審に抗議

 

解説①シャポバロフの抗議内容 

「I didn't break it. If I break it, 100% code me. you're not doing your job. you're just finding reasons to code me.」

「俺はラケットを壊していない!もし壊したら100%警告だ。それはわかる。(でも俺はラケットを壊さずに警告を受けたから、)あなたは自分の仕事をしていない!俺に警告を与える理由は見つけているだけだ!」

「It's terrible call. Do your job. It's my racquet. I can do whether the hell I want with it.」

「ひどい判定だ!ちゃんと自分の仕事をしろよ!これは俺のラケットだ!どうしようと俺の勝手だろ!」

 

というような内容です。

※日本語訳がめちゃくちゃですが、気にしないでください…

 

解説②JTAルールの観点から解説

日本のテニスルールの観点から述べると、ルールブック2019 156ページに「ラケットの乱用」はコードバイオレーションの対象行為であると記載されています。具体的に、「ラケットを破損するほど、乱暴に叩きつけたり、怒りを込めて蹴飛ばしたり、危険な方向に投げつけてはならない」ことが記載されています。 

 

解説③国際(四大大会)ルールではどうなるのか

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トーナメント会場の敷地内で、プレイヤーは怒りと共に激しくラケットや用具を叩きつける、蹴る、または投げつけてはならない。この違反ごとに最高20,000ドルの罰金をプレーヤーに科すものとする。 さらに、試合中にそのような違反が発生した場合(ウォームアップを含む)、プレーヤーは以下に示すポイントペナルティ表に従ってペナルティーを科せられます。

この規則の用途として、ラケットまたは用具の乱用は、意図的かつ暴力的にラケットまたは用具を破壊または損傷すること、または怒りや欲求不満からの試合中にネット、コート、審判員の椅子またはその他の備品に意図的かつ暴力的に当たることと定義します。

 

解説④コードバイオレーションの流れ

1回目警告

2回目ポイントペナルティ

3回目ゲームペナルティ

4回目以降レフェリーが失格を協議

 

解説⑤シャポバロフの主張

ルールの観点からみると主審の判定は間違っていません。しかし、シャポバロフの気持ちも理解できなくはありません。なぜなら、ラケットを粉々に破壊しても、投げつけても、コードバイオレーション1回目であれば警告のみだからです。つまり、シャポバロフからすれば、「ラケットを壊していないから警告ではない!他にもひどいラケット破壊をする選手はたくさんいるだろう!何でラケットが壊れていもいないのに警告なんだよ!」というわけです。

 

解説⑥プロのラケット破壊や投げつけ動画

※暴力的なシーンで気分を害されそうな方は視聴をお止めください。


Angry Tennis Players Smashing Rackets!!!


TOP 10 racquet smashes of 2016 - ITF Women's Tennis Circuit

 

確かにこのような破壊と、ラケットを壊さない程度の叩きつけが同じ警告なのは審議する必要があると思います。しかし、厳しく取り締まらないと「ラケットを壊さなければ何をしても良い」となってしまうので、投げつけも壊さない程度の叩きつけもNGです。

 

解説⑦セルフジャッジの場合

一般やジュニア大会でも怒りでラケットを投げたり、ボールを叩きつけることはコードバイオレーションをです。対戦相手がそれを行った場合は、ロービングを呼んでください。なぜなら、コードバイオレーションを科す権利はロービングや大会運営側にしかないからです。

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次回「ラケットを投げて返球しても良い?」


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