テニスセルフジャッジ超解説

日本テニス協会公認審判員がルールを解説してきます。

55:ペアに「ストレートケア!」と言うと失点になる!?

本日はヒンダランス特集第2弾!

 

※ルールブックに記載のない部分は、私の審判経験に基づく意見を述べています。

ペアに「ストレートケア!!」と声をかけることは違反なのか?

例 AB VS CD ダブルス

後衛のAは、Cがストレートに強く打ってくると思ったので、ペアの前衛であるBに「ストレートケア!!」と大きな声で叫んだ。 

※ストレートケア…「ストレートのコースを守って」という意味で使われます。

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結論

声を出すタイミングと大きすぎる声量によっては、ヒンダランスに該当する可能性が高い(=声を出した選手が失点になる)

 

ヒンダランスについては、下記の記事を御覧ください⇓⇓

aaatennisrule.hatenadiary.jp

 

解説①インプレー中の声掛けについて

ダブルスで自分のペアに対して、インプレー中に声をかけることは通常問題ありません。例えば、「任せた!」「お願い!」「左行って!」「ロブ上げたよ!」などの声です。

 

解説②ヒンダランスに該当するケース

相手打つ時

声量が大きすぎる

この条件が揃うと、ペアへの声掛けとはいえ、ヒンダランスに該当する可能性が高いです。

 

解説③ヒンダランスに該当する理由

「ぺアへの声掛けという言い分で、大声を出して相手のプレーを妨害する」という悪用を防ぐために、ヒンダランスを適用する場合があるのです。

 

「ペアへの声掛けが反則になるの?」と思われるかもしれませんが、逆に考えてほしいです。

「ペアへの声掛け」という理由で何でも許されて良いのでしょうか?

例えば、自分がストレートに打とうとしている時に

「ストレートケア!!!」

「ストレート来るよ!!!」

「前衛アタック来るよ!!!」

などと相手から大きく叫ばれると、さすがに自分のプレーに影響が出ます。具体的に、ペアへの掛け声とはいえ、自分のプレーが「妨害」されているのです。つまり、「ぺアへの声掛けという言い分で、大声を出して相手のプレーを妨害する」という悪用を防ぐために、ヒンダランスを適用する場合があるのです。

 

解説④ペアへの声掛けがヒンダランスになる基準 

先程も述べたように、

相手打つ時

声量が大きすぎる

この条件が揃うと、ヒンダランスになる可能性が高いです。

 

解説⑤ロービングも判断が難しい

ちなみになぜ私が先程から「可能性がある」、「場合がある」などのように断定的な表現を避けているかと言うと、この問題はロービングも非常に判断が難しいのです。

なぜなら、「どれくらい声量が大きければヒンダランスに該当するのか」という基準もルールブックに記載がない上に、味方ペアへのポジショニング等について声を出すことはプレーに必要な行動です。そのため、審判も非常に難しい判断なのです。

 

解説⑥実際の試合でヒンダランスをコールする場合

もし自分が打つ時に対戦相手の「ストレートケア!」の声が常識では考えられないほどあまりにも大きい場合は、プレーを直ぐに止めて「ヒンダランス」とコールしましょう。そして、高確率で揉めるのでロービングを呼んで判定してもらうことになります。

 

ヒンダランスの注意事項

解説⑦ポイントを直ぐに止めること

ポイント終了後の抗議は無効です。インプレー中にヒンダランスに該当するケースが起こっても、プレーを継続した場合には最終的にポイントを取った選手のポイントです。このケースだと、よく自分がミスをして失点した直後に「自分が打つ時に大きな声を出されて妨害されたから自分の得点」という選手が多いですが、ポイントが終わってからの抗議は無効です。

 

解説⑧ロービングを呼ぶこと

ヒンダランスの最終判定権利はロービングにあります。そのため、ヒンダランスかどうかで揉めた場合はロービングを呼んで状況を説明するしかありません。つまり、流れとしては、

・ヒンダランスに該当するケースが起こる

・自分がプレーを直ぐに止めて「ヒンダランス」とコールする

・対戦相手が納得→自分のポイント

・対戦相手が納得しない→ロービング判断

という流れになります。

※高確率でヒンダランスをコールされた選手は納得しません。

 

解説⑨ロービングがいない大会の場合

大会運営側に判断してもらう。なぜなら、ヒンダランスで揉めた場合の最終判定権利は選手にないからです。また、ルールブックにも「ヒンダランスは妨害を受けたチームからの申し出によりロービングが判断する。(一部省略)」と記載されています。

 

 

解説⑩ペアへの声掛け=ヒンダランスという主張

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が本当にストレートを打とうとしている時にからへの「ストレートケア!」という声が聞こえてくると、例え声が小さいとはいえ、プレーに影響する可能性があります。

そのため、「相手が打つタイミングでのペアへの声掛け=ヒンダランス」と主張する方もいます。しかし、ペアへの声掛けはインプレー中に必要な行為でもあるので、「ペアへの声掛け=ヒンダランス」とは一概に言えません。

 

解説⑪ペアへの声掛け=ヒンダランスではないという主張

ペアに対してポジショニングを声で伝えているだけ!対戦相手を妨害しようと声を出していないからペアへの声掛けは全て合法!」と主張する方もいます。しかし、これを認めると、先ほども説明した通り、「ペアへの声掛けという言い分で、相手が打つ時に大声を故意に出して妨害する」という悪用が起こります。そのため、「ペアへの声掛け=全て合法」ではないのです。

 

まとめ

基本的には常識内の声量であれば、相手が打つタイミングでも自分のペアに対する「ストレートケア」というポジショニングの声は問題ありません。しかし、相手が打つタイミングで度を越した声量での声掛けはヒンダランスに該当する可能性が高いです。

 

次回:フェデラーも実践。試合前のトスに勝ったら相手に選ばせる

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