テニスセルフジャッジ超解説

日本テニス協会公認審判員がルールを解説してきます。

㊳サーバーがレットをコールしても良い!?

今回は2018年度ルール改正のサービス編です!

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何がルール改正されたの?

ネット」の判定権利です。2018年度から、サービスがネットに当たったかどうかの判定権利はサーバーにもあります。

 ※「ネット」はテニスコートに張ってある網のネットではなく、判定としてのネットです。ここでは明確に区別をするため、網のネットは黒字下線付き判定としてのネットは緑文字で記載します。

ネット…サービスがネットに当たってレシーバー側へ越えること

 

解説①サーバーもレットをコールできるの? 

「サーバーもレットを主張できるようになったのですか?」とよく言われます。

この質問の答えは、

①ルールブック通りの観点からみるとNO

②内容的な観点からみるとYES

 となります。

 

解説②ルールブックの観点から解説

まずサービスにおけるレットとは、「サーブがネットに当たり、サービスコートに入った」ことを意味します。つまり、サービスが入ったかどうかはレシーバーのみ判定する権利があるので、厳密に言うとレットの判定権利はサーバーにありません。

 

あくまでもサーバー側に与えられた権利は「ネット」です。つまり、サービスがネットに当たったかどうかだけを判定する権利です。

 

解説③各判定と権利の整理

ややこしいと思いますので、一旦整理します。

レット…サービスがネットに当たって相手サービスコートに入ること

ネット…サービスがネットに当たってレシーバー側へ越えること

ネットの判定権利についてはルールブック2019の62ページを参照

ネットのルール説明はルールブック2019の195ページを参照

レットの判定権利はレシーバーのみ。ネットの判定権利はサーバーとレシーバー。

 

まとめると、ルールブック通りの観点ではサーバーにネットの権利しか与えられていないので、「サーバーもレットを主張できるようになったのですか?」という質問には「NO」となります。

 

解説④内容的な観点から解説

ルール上でサーバーに認められているのは「ネット」の判定権利です。

しかし、実質サーバーがレットをコールできるようになったこととほぼ同じ内容です。

そのため、ルールの内容的な観点からみると「サーバーもレットを主張できるようになったのですか?」という質問には「YES」となります。

※セルフジャッジの場合、サーバーは自分のサーブがネットに当たった時に「レット」ではなく、「ネット」とコールする必要があります。それさえ順守できれば、サーバーがレットをコールできるようになったことと、内容にほぼ違いはありません。

 

解説⑤セルフジャッジでの使い方

このルールをセルフジャッジの試合で使うために、サーバーは自分のサーブがネットに当たった時、「ネット」と主張してプレーを直ぐに止める必要があります。

 

しかし、このルール改正はあまり広まっていないので、対戦相手が知らないケースがあります。そのため、セルフジャッジで想定されるケースを解説します。

   

解説⑥サーブがネットに当たったか、当たっていないで揉めた場合

・サーバーは、自分のサーブがネットに当たったので「ネット」と主張した

・しかし、レシーバーは「サーブがネットに当たっていない」と主張した

→このように判定が食い違った場合はレットです。

 

解説⑦判定の食い違い 

なぜなら、「ネット」は両方の選手に判定する権利があるからです。セルフジャッジにおいて両方の選手が判定権利を持っている状況の場合、片方の選手の意見だけを採用するわけにはいきません。そのため、ポイントのやり直しになります。

 

解説⑧ポイントやり直し

これを説明すると、「ポイントのやり直しということは、サーバー側のネットに当たったという意見だけが採用されているじゃないですか!」と思うかもしれません。しかし、この場合はあくまでも「判定が食い違ったことによるポイントのやり直し」という意味でのレットです。

 

前々回で解説した「ノットアップの判定が互いに食い違ったら、消去法でレット(ポイントやり直し)になる」と同じ扱いです。

⇓⇓ツーバウンド(ノットアップ解説記事)

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※実質、サーバーが「ネット」と主張すればロービングが判定を覆さない限り、サービスの打ち直しになると思ってもらって大丈夫です。

 

解説⑨予想されるトラブル

このルールは相手が知らない場合があります。

そのため、自分のサービスがネットに当たったと思い、自分が「ネット」を主張してプレーを止めたら、レシーバーは

「サービスのレットはレシーバーのみ判定権利がありますよ」

と高確率で言ってきます。

 

その場合、

レットとは言っていません。私はネットと言いました。2018年度のルール変更でサービスがネットに当たったかどうかはサーバーも判定できます。私はネットと主張して直ぐに主張してプレーを止めたので、サービスの打ち直しが認められます。」

と言いましょう。

 

ルールを知らない相手は恐らく

「そんなルールは知らない!デタラメ言うな!証拠見せろ!」と主張してくるでしょう。 重要ポイントなら尚更ヒートアップする可能性が高いです。

  

解説⑩ロービングを呼ぶ

相手が話が通じない場合、すぐにロービングを呼びましょう。

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解説⑪最悪携帯で調べる

最新のルールブックがない上に大会運営側も知らない場合は自分で「テニス セルフジャッジ 2018」とGoogle検索しましょう。そこで、ルール改正の詳細が出てくるのでネットは両選手に判定権利がある」という証拠を見せましょう。

※ルール上、試合中に携帯を使うことはNGですが、いきなりポイントを失ったりすることはありません。

 

解説⑫ポイント終了後の抗議は無効

サーブがネットに当たっても互いに何も主張しない場合は「サーブはネットに当たっていない」ことになります。ポイントが終わってから「サーブがネットに当たっていたから、ポイントやり直し」は認められません。そのため、自分のサーブがネットに当たったら直ぐにプレーを止めて「ネット」と主張しましょう。レシーバーは今まで通りサーブがネットに当たって入ったら、「レット」のコールで大丈夫です。

 

解説⑬大会によっては採用しない場合もある

大会によっては混乱を避けるため、サービスの2018年度ルール改正等を採用しない場合があります。事前に大会要項や大会本部に確認しておきましょう。しかし、基本的にJTAルールが採用されている大会では改正ルールが適用されます。

※JTA…Japan tennis association(日本テニス協会)

※JTAルールが採用されているかどうかは大会要項や大会本部で確認

 

解説⑭ダブルスの場合

ダブルスはペアのどちらかが判定をすれば、採用されます。そのため、サーバー側の前衛が「ネット」をコールしても問題ありません。むしろ、サーバー側の前衛が一番ネットに近いのではっきりと判定しましょう!

 

解説⑮個人の意見:ノーレットルールが広まってほしい

セルフジャッジの場合、ノーレットルールが広まってほしいです。サーブがネットに当たったか当たってないかで揉めることは明白なので、ノーレットルールの方が平和だと思います。

ノーレットルールとは、サーブがネットに当たってもそのままプレーを継続することです。ジュニアの国際大会で採用されています。


No-let service rule in action

 

セルフジャッジの場合はノーレットルール、主審がいる場合はサービスのレットを採用する方が選手同士のトラブルが減ると思うので、個人的には広まってほしいですね。

 

解説は以上になります!

 

次回「アウト!やっぱりイン!が認められている!?」

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[rakuten:sportsman:11051293:detail]

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