不可解なルール改正
2018年度のルール改正により、セルフジャッジのインプレー中に「アウト」と判定した直後に「イン」と訂正した場合、ポイントのやり直しが試合中に1度だけ認められました。
解説①ルールブックより抜粋
「インだったボールを誤って「アウト」とコール(ジャッジ)したが直ちに訂正した場合は、1回目は故意ではない妨害としてポイントレットにする。」
※ルールブック2019 62~63ページ
解説②2018年度以前(ルール改正前)
「アウト」と判定した後に「イン」と判定を変えることは失点になりました。
解説③2018年度以降(ルール改正後)
インプレー中に「アウト」と判定した直後に「イン」と訂正した場合、1回目ならレット(ポイントのやり直し)になります。
※判定の訂正を直ちに行った場合に限る
※2回目以降は失点
しかし、ラケットに届かないような明らかなウイニングショットを「アウト!やっぱりイン!」とした場合はレットになりません。この場合の判定の訂正は、プレーに何も影響していないからです。
解説③私の不満 :悪用の恐れ
試合中に1度だけわざと悪用されてしまう恐れがあるので、この改正は意味がわかりません。
ルールブックでは「誤ってインをアウトにした場合」と書かれていますが、わざと「間違えてアウトと言ってしまったので、インに訂正しました」と申告すれば、レットが認められてしまいます。誤りか本当かどうかなんてわかりません。
解説④悪用の例
タイブレーク(6-5)の自分マッチポイント
・自分が深くて速いボールをライン際に打ち込む
・相手が「アウト!やっぱりイン!間違ってアウトと言ってしまいましたので、ポイントレットです」と主張
・ポイントやり直しになる
これがルール上認められてしまうわけです。もはや「改正」ではなく、「改悪」な気もします…
個人的には今まで通り、「アウト」の判定後に「イン」とした場合は失点の方が良かったと思います。もし試合中にこのルールをやられたら、「こいつはルールを知ってやがる…」と思うしかありません。
おまけ:判定を覆すコール「コレクション」
判定を訂正する正確なコールは「コレクション」です。主審が線審の判定を覆す時に使ったり、ロービングアンパイアが選手の判定を覆す時に使います。
解説⑤ロービングが判定を覆す場合
・セルフジャッジでロービングが判定を覆す時
選手「アウト!」
ロービング「コレクション!ボールワズグッド!」
→コート内でロービングが選手の判定を訂正した場合、ロービングの判定が採用されます。
解説⑥主審が判定を覆す場合場合
線審「アウト!」
主審「コレクション!ボールワズグッド!」
⇓⇓主審が判定を訂正する例
Vekic, Sakkari & the chair umpire controversy
主審から遠いラインの判定を主審が覆したので、選手は怒っていますね…
しかし、セルフジャッジではこのコールをするようにルールブックでは明記されていないので、セルフジャッジでは「アウト!訂正!イン!」のコールで十分です。要はセルフジャッジの場合、自分のアウト判定の直後にインと訂正すれば良いのです。
今回は以上になります。
次回「観客が試合中に声や騒音を出した場合」
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