テニスセルフジャッジ超解説

日本テニス協会公認審判員がルールを解説してきます。

㊵観客がプレー中に声や音を出した場合(錦織とマレーも)

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本日はコート外の観客が出した声や音について解説します!

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結論

コート外の観客が出した声や音は、通常では妨害の理由にならない

 

解説①ルール

コート外の観客が「アウト」と言ったり、奇声を出してもプレーを継続する必要があります。 コート外の観客の「アウト」のコールによってプレーを止めた場合、プレーを止めた選手の失点です。

インプレー中の観客の声や音について、プロの例を出して解説します。

 

観客からの「アウト」コール

解説②実際の事例

下記の2つの動画の例をご覧ください。

10:30~フェデラーvsキリオス


Extended Highlights: Federer v Kyrgios Classic | Miami Open 2017

観客からの「アウト」に声にキリオスがブチ切れています。

 

⇓フェデラーvsデルポトロ 11:10~


#rg2012 #federer #delpotro

観客からの「アウト」の声にフェデラーがブチ切れています。

 

審判はこの後「静かに観戦をお願いします。」などとアナウンスを行い、再発防止に努めます。観客は退場処分になる可能性が高いです。

セルフジャッジの試合の場合、大会運営側が再発防止のために観客に注意や退場処分を言い渡します。

 

解説③コート外からの「アウト」でレットにならない理由

理由は簡単です。

キリがないのです。

大会によっては隣のコートの審判の「アウトコール」が聞こえる場合もあります。もしコート外からのアウトのコールでレットを認めてしまうと、隣のコートでアウトコールがある度に試合が止まってしまいます。それではキリがなく、試合が進みません。

8:40~  ラリー中に隣のコートから「アウト」コールが聞こえる
1/3奈良くるみ vs 本玉真唯【ハイアングル】第1セット

セルフジャッジの試合でも隣のコートからアウトコールが聞こえてくるケースがあるので、自分が試合をしているコート以外からのアウトコールで、レットは認めていません。

これらの理由により、例え観客が「アウト」とコールしてもレットが認められないのです。

 

解説④悪用される可能性があるため

もしコート外からの「アウト」の声でレットを認めると、コート外の観客と選手が手を組んで「自分がピンチになったらアウトの声を出してもらう」という悪用ができます。それもあって、コート外からのアウトではレットになりません。

 

観客からの大きな声の場合

解説⑤ルール

観客からの大きな声がわざと発せられてもレットにはなりません。

 

例えば、この2つの動画をご覧ください。「国別対抗戦 ロシアvsイスラエル」で観客がロシア選手のサーブを打つ前に妨害したり、インプレー中に奇声をあげて妨害しています。


Anna Chakvetadze versus rude crowd ! Fed cup


Israeli audience vs Maria Sharapova

さすがにこれはひどすぎますが、コート外からの声をレットの対象にするとキリがないので、レットは認めていません。

 

コート外からの騒音はどうなる?

解説⑥騒音のルール

これも通常ではレットにすることはできません。

なぜなら、コート外の騒音もレットの対象にしてしまうとキリがないからです。

 

コートの近くではパトカーや救急者が通ることもあれば、電車が通る可能性もあります。選挙の演説がすぐ近くで行われるかもしれません。そのようなコート外からの音もレットに認めてしまうと、試合が進まないのです。

 

解説⑦例外を認めたケース 錦織vsマレー

ルールブックには「通常では」と記載されているので、例外としてコート外からの騒音でもレットを認めるケースがあります。 

18:55~ 錦織VSマレー


TENNIS - US OPEN 2016 - Andy Murray vs Kei Nishikori Highlights ᴴᴰ

 

解説⑧マレーのブチ切れ

この動画の騒音で主審はレットと判定していますが、マレーは「この程度の騒音はレットにならない!!」と激怒しています。しかも、マレーが良いショットを打った後だったので、尚更怒っています。

 ※個人的な意見としては、この騒音はプレーを続行するべき範囲だったと思います。

 

主審がいる状況でこのようなコート外の騒音に関しては、主審が「通常ではない声や騒音」と判断した場合にレットをコールします。

 

解説⑨セルフジャッジのルール

セルフジャッジの試合でもコート外の観客による声や音をプレイヤーがレットをかけられる対象にしてしまうとキリがないため、通常では認められません。

(ルールブック2019 57ページ)

 

これを説明すると、「通常以外の声や音ならレットをかけて良いのですか?」と言われるのですが、何が通常以外なのかはルールブックに明記されていないのです。

 

解説⑩私の意見

ここからは私の意見になりますが、爆破事件、犯人から襲われたことによる悲鳴などの日常生活では考えられない音や声がないとレットは認められません。なぜなら、先程も説明した通り、日常生活で起こり得る声や音でレットを認めれるとキリがないからです。そのため、原則セルフジャッジの試合なら「コート外からの騒音や声でのレットは認められない」という認識で大丈夫です。 

 

以上になります!

 

次回

「2018年度ルール改正編まとめ」

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