テニスセルフジャッジ超解説

日本テニス協会公認審判員がルールを解説してきます。

111 チャンスボール時にボールが侵入してきた場合

本日はセルフジャッジの試合でチャンスボール時に、他のコートからボールが転がってきた場合の解説です!

超最初の頃に解説した記事ですが、最近これに関する質問が多いので再解説します!

※JTAルールブックと日本テニス協会へ問い合わせた内容に基づきます。

画像で状況を確認:チャンスボール時のボール侵入

f:id:aaatennis:20191214093958j:image

↑画像のようにスマッシュを打とうとしてる時に🎾が侵入してきたケースをご想像ください。

 

この状況で手前の選手が「レット」をコールした場合、レットが認めれるのかどうかという解説になります。

 

結論:チャンスボール時に、他のコートからボールが転がってきた場合

「相手のチャンスボール時に他のコートからボールが転がってきても、自分がレットをかけることは基本的に可能です。」 

チャンスボール時に妨害のあった例①スマッシュ時の猫


Cat invades tennis court, nearly gets hit! | Rome 2018

セルフジャッジではありませんが、プロの試合中でチャンスボール時に妨害があった例です。しかし、この動画を見ることで、「チャンスボール時でもレットは可能」ということがわかります。

  

チャンスボール時に妨害のあった例②マレーvsトロイツキ


French Open 2011 - Andy Murray Vs Viktor Troicki, Ball boy Incident

これはボールの侵入ではなく、ボールボーイの侵入です。

しかし、このような明らかなチャンスボールでも「レットは可能」というわかりやすい動画です。

 

セルフジャッジでこのケースに遭遇した場合は、相手がスマッシュを打つ前にレットをコールしないと確実にレットが認められません。

詳しくは後ほど解説します。

解説① ルールブック

ルールブックに記載されているのは、

「インプレー中、他のコートからボールが転がってくるなど、プレーヤーのプレーに妨害が起こった場合、レットになる」

(JTAルールブック2020 P56)

という内容です。

 

解説②決まるとは限らない 

チャンスボール時であろうが、ボール侵入などの妨害があれば基本的にレットは成立します。なぜなら、チャンスボールでも100%決まるとは限らないからです。

 

解説③ボールの転がった位置 

仮に、相手がネット付近でスマッシュを打つ時に相手コート側のベースライン後方にボールが転がってきても、レットをかけることは可能です

 

なぜなら、他のコートからボールが転がってくるということは、視覚的な妨害にもなるからです。

つまり、相手コート側のベースライン後方にボールが転がってきた場合は視覚的な妨害によって集中力を乱されたとして、自分もレットをかけることが可能になります。

(日本テニス協会からの解説)  

 

解説④レット無効のケース

他のコートからボールがインプレー中に転がってきても、そのボールの侵入による妨害が何もプレーに影響を及ぼしていない場合、レットは無効です。

 

例えば、対戦相手が自分の完全に逆を突いてオープンコートにスマッシュを叩き込んだとします。しかし、相手がスマッシュを打った直後にボールが転がってきたので、自分は「レット」をコールしました。

 

このようなケースの場合、レットは無効です。なぜなら、ボールが転がって来ても来なくても、完全に逆を突かれている時点でボールに追いつくことは不可能だからです。

 

※ボールの侵入がプレーに影響を及ぼしているかどうかで揉めたらロービング判断です。 

 

解説④’レット無効のケース

先程のマレーvsトロイツキをセルフジャッジの試合だと仮定して解説します。そして、ボールボーイではなく、ボールが侵入してきたとします。

その場合、トロイツキ(緑パンツ)がスマッシュを打つ前に、マレー(白パンツ)はレットをコールすれば、レットは認められます。

しかし、スマッシュを打たれた後のマレーがレットをコールした場合、明らかにプレーに影響していないので、レットは無効です。


French Open 2011 - Andy Murray Vs Viktor Troicki, Ball boy Incident

 

 

解説⑤ロービングを呼ぶべき

チャンスボール時の「レット」コールは、セルフジャッジの試合でも本当によく揉めます。

ほとんどの選手はチャンスボール時にレットをコールされた時、「チャンスボール時のレットは無効だろ!」とか言ってイライラします。

 

自分のメンタルを乱さないためにも、このルールはよく理解しておいた方が良いです。

 

解説⑥ポイント終了後の抗議

ポイントが終了した後に

「インプレー中にボールが転がってきたからポイントのやり直しだ!」

という抗議は無効です。

おまけ①主審がいる場合

主審がいる試合方式の場合、インプレー中に他のコートからボールが転がってきた場合、審判が「レット」をコールします。

つまり、選手にはレットをコールする権利がありません。

 

⬇11:40〜チャンスボール時にボールが侵入


2017年 テニス男子団体 東山×静岡市立 2回戦 6

 

主審がボールの侵入に気づかなかったのか、主審がレットをコールしなかったため、プレーは続行となりました。

このようにボールが侵入してきても審判がレットをコールしなければ、プレーを続けなくてはなりません。

 

おまけ②レットは自分でコール

個人的な意見ですが、セルフジャッジの試合でロービングがインプレー中のボール侵入によるレットコールはしません。というより、したくありません。そのため、レットは自分たちでコールしてください。

 

理由は下記の記事で述べています。

aaatennisrule.hatenadiary.jp

 

おまけ③最近増えている問い合わせ

最近、お問い合わせで増えてきているのが、「解説されていた〇〇は、ルールブックに明記されていません。そのため、根拠を教えてください。」というような内容です。

 

それに関しては、私の経験上の解釈や日本テニス協会への問い合わせが根拠となります。できるだけそれらを記載するようにはしていますが、忘れることもあるのでご了承願います。

まとめ:チャンスボール時のレットコール

相手のチャンスボール時に他のコートからボールが転がってきた場合、

・ボールが転がってきたことも、相手が打つ前なら基本的に「レット」は有効

・ボールが転がってきたという妨害が、ポイントに何も影響を与えていないなら「レット」は無効 

 

次回:虫の侵入

aaatennisrule.hatenadiary.jp

 

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