テニスセルフジャッジ超解説

日本テニス協会公認審判員がルールを解説してきます。

114 初めてのテニスの試合に向けてのルールやマナー編【図解付き】

 試合に始めて挑む方やテニスの基本ルールとマナーを見直したい方向けの記事となります。画像などを使ってわかりやすく解説しています!

「テニスの試合はルールやマナーがわかってなくても何とかなる!」とは絶対に思わないでください。

※会場についてからすべきこと

・エントリー

会場についたらまずは大会本部に行って、エントリーを行いましょう。規定のエントリー時間以内にエントリーしないと失格になります。

 

エントリーの方法は大会本部に行き、

「おはようございます。エントリーお願いします。ドロー番号〇番の〇〇(自分の名前)です。よろしくお願いします。」

と伝えれば大丈夫です。

※ドロー表やエントリー時間は、事前に大会のホームページに記載されていることが多いです。

 

・試合順の確認

試合順はオーダーオブプレイ(OP)と呼ばれる試合進行表に記載されており、誰がどこで試合するのかが一目でわかります。それを自分で確認し、順番が来たら自分で指定されたコートに移動し、試合を始めます。

ちなみにOPは大会本部前に置いてあるケースがほとんどのため、こまめに自分で確認しましょう。

※大会によっては選手を呼び出したり放送でお知らせする場合もありますが、ほとんどが自分でOPを確認する方式が採用されています。

 

OPの例⬇

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・試合球をもらう

試合球の準備は大会によって異なり、主に下記のようなパターンが多いです。

 

1.ドロー番号の低い選手が試合開始前までに本部に取りに来る

2.コートに準備してある

3.自分で準備する

 

必ず大会要項を読んだり、大会本部に確認しましょう。

 

①ラケットトスでサーブレシーブを決めよう編

自分の試合順が回ってきたら荷物をコート内のベンチに置き、両選手はネット付近に集まってください。そこからラケットトスを行います。

最初にラケットトスの説明画像を置いておきますので、こちらで全体像を把握してみてください。

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ラケットトスとは

ラケットトスとは、先に誰がどのコートでサーブやレシーブを始めるかを決める方法となります。ラケットを回して公平に決めます。

 

ラケットトスの流れ

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どちらかの選手がラケットヘッドを地面につけながら「Which?」と相手に質問します。聞かれた方は「スムース(アップ)」「ラフ(ダウン)」と答えます。そして、ラケットを回します。

※厳密に言うと、ラケットを回す場合はネットを挟んで相手側のコートで回したり、ラケットを回してから「スムース」か「ラフ」を答えるのが良いとされています。これは不正防止のためです。

しかし、両選手が納得するのであれば、これほど厳密に行わなくても良いです。

 

スムースとラフの向き

スムース(アップ)とラフ(ダウン)を覚えていないと、ラケットトスができないので必ず試合前には覚えておきましょう。

 

スムース(アップ)

ラケットを回して地面に倒れた後、ラケットのエンドキャップに記載されたメーカーロゴの向きが正しく向いていた場合、スムース(アップ)となります。

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ラフ(ダウン)

ラケットを回して地面に倒れた後、ラケットのエンドキャップに記載されたメーカーロゴの向きが反対に向いていた場合、ラフ(ダウン)となります。

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画像を並べて確認⬇

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ラケットを回した後

スムースかラフを答えた方の当たり

A君「Which?」

B君「スムース(アップ)」

地面に倒れたラケットがスムースの場合、B君が当たっているのでB君が先にサーブ、レシーブ、コートの中から一つ選べます。

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もしB君がサーブを選んだ場合、A君はレシーブが自動的に付与されるので、どちらの「コート」でプレーを始めるかを選べます。 

 

スムースかラフを答えた方のハズレ

A君「Which?」

B君「スムース(アップ)」

地面に倒れたラケットがラフ(ダウン)の場合、B君は外れているのでA君が先にサーブ、レシーブ、コートの中から一つ選ぶ。

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もしA君がコートを選んだ場合、B君はサーブかレシーブを選べます。B君がサーブを選んだ場合、A君にはレシーブが与えられます。

 

ラケットトスの注意点

ラケットトスで選択権を先に入手した場合、選べるのはサーブ、レシーブ、コートの中から1つだけです。時々、「こっちのコートでサーブ」と答える方がいますが、これだとコートとサーブの2つを選んでいるのでルール違反となります。

 

 ②サーブ練習

ラケットトスの後は試合前練習です。ほとんどのジュニアや一般大会では試合前練習として、各選手サービス練習だけが認められています。

 

基本はサービス4球

1人各サイド2球ずつ(デュースサイド2球、アドバンテージサイド2球)打ちます。自分がサービス4本を打ち終わったら、相手にボールを渡して次に相手がサービス4本打ちます。

※サービス練習はラケットトスでサービスを選んだ方から行うのが一般的です。

デュースサイド…右側のサイド(右利きのフォア側のサイド)

アドバンテージサイド…左側のサイド(右利きのバック側のサイド)

 

サービス練習の流れ

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サービス練習の注意点 

練習なのでサーバーはフォールトをしても問題ありません。レシーバーはリターン練習としてサーブを打ち返しても構いません。

※レシーバーはサーブを打ち返さず、ラケットでボールを止めるだけでも大丈夫です。

 

③試合開始

試合開始の合図

試合を始める時はサーバーが「お願いします!」と声を出しましょう。それからレシーバーも続いて「お願いします!」と言うのが一般的です。

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④セルフジャッジ

ほとんどの一般やジュニア大会では審判がおらず、審判のいないセルフジャッジ方式が採用されます。つまり、選手同士で審判をしながら試合をすすめるため、基本的なセルフジャッジの方法を覚えておく必要があります。

 

アウトコールの仕方

アウトコールは「人差し指」を立てて、「アウト」とコールするのがルールです。トラブルにならないためにも素早く明確に行いましょう。

ポイントが終わってからの「やっぱりさっきのボールはアウトでした」という主張はルール違反です。

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※フォールトも同様に「人差し指」を立てて、「フォールト」とコールするのがルールです。

 

よく相手のアウトコールが曖昧だったり、声がなかったりするので、そのときは「アウトですか?」と相手に確認しましょう。

 

インの判定方法

何もしなければ「イン」となります。アウトやフォールトの時だけ、シグナルハンドと声で明確にジャッジしましょう。厳密に言うと、相手がフェンス場外ホームランを打っても自分が「アウト」の判定をしなければ、「イン」です。しかし、このような場合は誰がみてもアウトだとわかるので、アウト判定をしない選手が多いです。

 

トラブルを避けるためにも、アウトの際は必ずアウトコールをしましょう。

 

ちなみに手のひらを地面に向ける仕草は「イン」ですが、試合中に自分がしなくても問題はありません。

 

カウントのコール

カウントはサーバーがサーバーのスコアから先にコールします。

例えば、A君がサーブで40-15でリードしている場合、「40-15」とサーブを打つ前にコールします。カウントが正しい場合、レシーバーは「はい」と返事しましょう。

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インとアウトの定義

「イン」…地面に最初に着地したボールがラインに少しでも触れている。つまり、ラインに0.1mmでもボールの跡が触れていればインとなります。

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「アウト」…地面に最初に着地したボールとラインの間に空間がある場合、アウトです。

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わからない場合は「相手に有利な判定」

セルフジャッジの試合でインかアウトかわからない場合、相手に有利な判定が採用されます。つまり、自分のコート側のボールがアウトかインで判定がわからなかったり、迷った場合は「イン」となります。

 

「インかアウトでわからなかったので、ポイントをやり直しましょう」は無しです。自分が判定に迷った時点で自分に有利な判定は採用されず、相手に有利な判定が採用されます。

 

コート外からの口出しは禁止

セルフジャッジの試合中、コート外の観客が試合中の選手のジャッジに対して口出しするのはルール違反です。

 

逆に選手がコート外の人と会話するのも禁止です。

※ボールをフェンス外に打ってなくした場合、拾ってきてほしいから具体的な指示を出す場合などの会話は暗黙の了解でOKとされています。

 

セルフジャッジの注意点

セルフジャッジは審判がいないため、よくトラブルが起こります。そのため、アウトの判定は素早く明確に行い、カウントははっきり言いましょう。わからない場合はその場ですぐに相手に聞いてください。

 

⑤試合後

挨拶

試合終了後、両選手がネット付近に集まって「ありがとうございました」と礼をしましょう。本来は握手もしますが、今はコロナの影響で挨拶だけで済ますことが一般的です。

 

挨拶が終わったら荷物を持って速やかにコートを出ましょう。

 

結果報告

試合の勝者が大会本部に結果報告に行くのが一般的です。敗者は次の試合が残っていない場合、帰宅して問題ありません。

※大会によって異なるため、大会当日に確認しましょう。 

 

⑥シングルスとダブルスのコートの違い

シングルスとダブルスではコートの範囲が異なります。変わるのは横幅だけです。

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ダブルスの範囲

ダブルスでは下記の赤ラインが範囲となり、シングルスよりもコートの範囲が広いです。

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シングルスの範囲

シングルスは下記の黄色で囲まれた範囲で行われます。

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 つまり、シングルスでは黄色の範囲外に打つと「アウト」となります。ダブルスでは「イン」になる部分もダブルスでは「アウト」になるので、注意してください。

 

シングルススティック

シングルスの場合、シングルススティック(ポール)と呼ばれる棒を2本ネットに立てる必要があります⬇

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ダブルスの場合、シングルススティックは必要ありません⬇

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⑦マナー編

テニスのルールも大事ですが、マナーも覚えていないと試合中に相手から白い目で見られてしまいますので、必ず覚えましょう。

 

コードボールの謝罪

ラリー中に自分の打球がネットに当たって相手コートに入ることをコードボールと言います。もし自分の打球がネットに当たって相手コートに入った場合、ポイント終了後に「すみません」と謝罪するのがマナーです。

※自分の打球がネットに当たって相手コートに入ったが、最終的に自分がポイントを失った場合、謝罪は不要です。

⬇コードボールの例(左にスライド)

www.instagram.com

 

ダブルフォールトで喜ばない

テニスでは「相手のダブルフォールトで喜ばない」というマナーがあります。嬉しくても喜ぶのは心の中だけにしておき、表に出さないようにしましょう。

 

ボールの渡し方(ワンバウンド以上)

相手にボールを渡す際、ラケットを使ったり、投げて渡す場合、相手がワンバウンド以上で受け取れるように優しく打って渡しましょう。ノーバウンドはダメです。

※相手がこちらを向いているか確認し、「ボールいきます」と言ってから渡すとよりマナーが良いです

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※チェンジコートの際は手渡しでボールを渡しても構いません。

 

他のコートにボールが転がった場合

よく自分たちの試合球が他のコートに転がっていきます。もし自分たちの試合球が隣のコートに転がった場合、隣のコートのプレーが中断した時(ポイント終了後)に走って取りに行きましょう。

絶対に隣のコートがプレーをしている時(ポイント中)に、隣のコートに入ってはいけません。

これは隣のコートの後ろを通る時も同じ考えです。

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フォールトのボールはどうすれば良い?

相手サーブがフォールトの場合、相手コートに打ち返すのではなく、

・ネットに転がしておく

・コートの後方に転がしておく

・自分のポケットに入れておく

上記のどれかを選びましょう!

 

もし相手コートに打ち返した場合は「すみません」と謝罪しましょう。

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⬇︎左にスライド

www.instagram.com

 

 

相手に当ててしまった場合

自分の打球を相手の身体に当ててしまった場合、「すみません」と謝罪しましょう。

 

⑧試合で困った時のQ&A

1セットマッチはゲームカウント5−5になったらタイブレークを行うのですか?

いいえ。1セットマッチの場合、ゲームカウントが6−6になったらタイブレークを行います。

タイブレークの解説は下記をご覧ください。 

aaatennisrule.hatenadiary.jp 

カウントがわからなくなった

カウントがわからない場合や両者で意見が食い違う場合、両選手が合意でできるスコアまでさかのぼって再開してください。

※スコアの食い違いは下記の記事で解説しています。aaatennisrule.hatenadiary.jp

 

確実に入っているボールをアウトとジャッジされた

残念ながら、「アウト」となります。念のため、相手に「アウトですか?」と確認しまし、次のポイントに切り換えましょう。あまりにもジャッジがひどい場合は、ロービングアンパイアと呼ばれる大会運営側の人を呼ぶしかありません。

aaatennisrule.hatenadiary.jp

 

⑨タイブレークとは

 タイブレークは以前にも解説したので、是非下記の記事を御覧ください。

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⑩超基本ルールを覚えたい方はこちら

テニスの基本中の基本のルールから覚えたい方は是非下記の動画を御覧ください。


【テニス入門】ポイントの数え方・基本ルール ~知れば試合観戦が楽しくなる!部活の入部前の方にも!~【初心者】

 

⑪最後に:ルールとマナーの知識は必須&ワンランク上のルール知識

自分と相手が気持ちよく試合をするためにルールとマナーの知識は必須となります。試合までにわからない場合、コーチや先輩、友人などに聞いて確かめておきましょう。

 

 セルフジャッジの細かいルールを知りたい方は是非下記の記事を御覧ください。

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初めての試合で不安がいっぱいだと思いますが、頑張ってください!

 

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